NEWS

お知らせ

2026-09-09

世界最先端の半導体研究機関「imec」へ大学院生2名を派遣

北海道大学半導体フロンティア教育研究機構(IFERS/アイファース)は、世界有数の半導体研究機関であるベルギーのimec(アイメック)へ、昨年度に続き大学院生2名を研究派遣します。この記事では先日行われた壮行会の様子と、imecの研究環境の魅力、本派遣制度の意義・狙いについて、IFERS 石森機構長にお聞きしたインタビューをお届けします。

派遣概要

高度半導体人材の育成を目的として、ナノエレクトロニクスとデジタル技術における世界有数の研究イノベーション拠点であるimecへ約3ヶ月間学生を研究派遣いたします。

派遣先:imec(ベルギー、ルーヴェン)
派遣期間:2026年10月〜12月(予定)
派遣学生:
・松野 史門さん(情報科学院 博士後期課程1年)※指導教員:浅井哲也教授
泉澤 奏良さん(情報科学院 修士課程2年)※指導教員:齊藤晋聖教授

松野さんは昨年度の渡航後も継続して研究を進めており、今回の派遣ではその成果をさらに発展させる予定です。泉澤さんは、昨年度に同研究室の村椿さんが実施した研究を引き継ぎ、さらなる展開を目指して渡航します。お二人には、世界有数の研究機関であるimecで最先端の研究に取り組むとともに、北海道大学とimecとのさらなる交流の架け橋となっていただくことも期待しています。

※本派遣は、北大フロンティア基金「半導体人材育成支援基金」を活用した「高度半導体人材海外渡航助成事業」により実施しています。

壮行会の様子

派遣に先立ち、8月18日(火)に両名が寳金清博総長および石森機構長を表敬訪問しました。寳金総長からは「現地でしっかり研究に励んできてください。無事に帰国し、素晴らしい成果や現地での経験を次の世代へ繋いでくれることを楽しみにしています」と激励の言葉が贈られました。

壮行会終了後の記念撮影(左から浅井教授、松野さん、寳金総長、泉澤さん、齊藤教授、石森機構長)
 

機構長インタビュー

今回、初めてimecを訪問した半導体フロンティア教育研究機構(IFERS)の石森機構長に、imecと北海道大学の関係や、学生派遣にかける想いについて伺いました。

インタビューに応える石森機構長

――imecと北海道大学との関係について教えてください。

石森機構長:北海道大学は、2024年11月にimecと半導体分野における連携に関する合意書を締結しました。imecが有する高度な専門知識や応用研究の実績、最先端の研究基盤と、北海道大学の強固な研究基盤を組み合わせることで、半導体分野におけるイノベーションを推進し、日本の半導体エコシステムの発展に貢献することを目指しています。

昨年度から実施している学生派遣では、学生たちに世界トップレベルの技術や研究ヘの熱意に触れ、その経験や学びを日本に持ち帰ってきてくれることを期待しています。

また、研究面では、2026年4月にNEDO「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環として採択された、LSTC主導の「光電融合を加速する半導体パッケージング技術開発と先端後工程拠点形成」プロジェクトに、imecと北海道大学の双方が参画しています。光と電気を組み合わせた次世代半導体技術の実用化に向け、先端パッケージング技術の開発や国内後工程基盤の強化を進める取り組みです。

――石森機構長ご自身は、先日初めてimecを訪問されたそうですね。実際に現地をご覧になって、どのような印象を持たれましたか?

石森機構長: まず率直に感じたのは、「設備が素晴らしい!」ということ。最先端のクリーンルームは規模も大きく、非常に圧倒されました。半導体産業にとって厳しい時代でも、imecの人たちは「もっと先があるはずだ」と信じ、新しい技術を切り拓いてきました。その姿勢や積み重ねが、現在の世界トップレベルの研究環境につながっているのだと強く感じました。

一方で、世界最先端の装置の中に、日本製のものが数多くあり、日本企業の技術が重要な役割を果たしていることも印象的でした。それを見て、日本でも同じような研究成果を挙げられたはずなのにと、少しもどかしさを感じたのも事実です。

――働く研究者や研究機関としての雰囲気はいかがでしたか?

石森機構長: とても雰囲気が良かったですね。私たちが訪問した際も、いろんな分野の方が最新の技術について丁寧に説明してくださり、とても温かく迎えてくれました。

imecは様々な国や地域から研究者が集まっていて、オープンで明るい雰囲気でした。また、「自分たちは世界の最先端を走っている」という強い自負を感じました。もちろん創設当初から現在のような規模だったわけではなく、苦しい時期もあったのだろうと思いますが、それを乗り越えながら発展し、世界トップクラスの研究機関へと成長されています。だからこそ研究者の皆さんからは、「挑戦を続ければ成果につながる」という熱意や自信が伝わってきました。とてもよい刺激の得られる環境で、私も学生だったらぜひ行ってみたいと思いました。

――imecの方々は、北海道大学との連携についてどのように捉えられていましたか。

石森機構長:地政学的な状況が大きく変化する中で、互いに信頼できるパートナーとして協力していきたいという思いを感じました。Rapidusの進出によって注目を集める北海道や北海道大学に対して「優秀な人材を輩出してほしい、そのために一緒に取り組みたい」という期待を寄せてくださっているのを感じました。

――今回の学生派遣は、昨年に続いて2年目の取り組みとなります。学生を現地へ送り出す意義について、どう考えられていますか?

石森機構長:やはり、実際に現地へ足を運ぶことが大切だと思います。インターネットや画面越しではなく、その場所に行き、空気や雰囲気を直接感じることは大切です。そうした経験からしか得られない気づきがたくさんあります。私自身、imecには未来志向のエネルギーがあると感じました。学生の皆さんにも、まずその国際的でオープンな環境を肌で感じてほしいですね。

そして、「世界最先端の研究現場も、日本の優れた技術によって支えられている」という事実も目の当たりにし、自身の技術や将来に対してエネルギーや自信を持って帰ってきてほしいですね。それが日本を発展させるきっかけとなり、学生を受け入れてくれているimecへの恩返しになるとも思っています。

おわりに

半導体フロンティア教育研究機構では、学生がこうした挑戦的な経験を積めるよう、今後も環境整備や制度づくりに取り組んでまいります。この海外渡航は、半導体人材育成支援基金の海外渡航助成制度を活用して実現しています。日本の未来を担う半導体人材の育成に向け、本事業へのご理解と温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。